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2011年03月 アーカイブ

2011年03月01日

「日本の近代を問い直す」ゲスト 関川夏央

 多彩な著作を重ねる関川夏央さんの、本質的なテーマはひとつ。すべては「日本の近代とは何か」という大きな問いに向かう試みなのです。その創作の原動力となるのは、戦後の正論に対する違和感。安易に過去を裁かない、歴史に対する謙虚さこそが関川さんの身上です。カフェを仕事場にする理由、早熟の作家に対する憐憫、書評家や文学賞選考委員に求められる読書法など興味深い内容が続々。快活な批判精神とユーモアに溢れた作家の魅力を存分にお楽しみください。


 プラスワンは、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』を軸に展開。軍事、外交、経済、政治を盛り込んだ長大な全体小説に託された、作者の意図を読み解く眼力には脱帽です。追いつくときには元気の良い日本人が、先頭に立つと急に自信を失うのはなぜか。我々が名を惜しむことを軽んじ、往生際が悪くなった原因は。ひと昔前の作家たちが短命だった本当の理由とは。乱暴だった梶原一騎さんの逸話、農業政策への提言など、笑いもたっぷりと交えた聞きどころ満載の雑談です。

2011年03月08日

「さまよえる学者とパゾリーニ」ゲスト 四方田犬彦

謎の死から35年以上が経った、異能の映画監督ピエル・パオロ・パゾリーニ。彼が遺した2400ページに及ぶ詩集を、四方田犬彦さんは十年以上の歳月を経て訳出しました。歴史のただ中に生きる不幸と幸福をラジカルに描いたパゾリーニは、旅と論争に生き、ファシストと新左翼の双方から憎まれても自らを恥じることがなかった八面六臂の表現者。投獄前日に書かれた「母への願い」の一節を、四方田さんが原文のイタリア語と自身の和訳で情感たっぷりに朗読してくれます。


プラスワンは、四方田犬彦さんがたっぷりと映画を語る30分です。パレスチナでブルース・リーに扮し、マルクス兄弟を追ってパリの小劇場に通い、ジャカルタやバンコクでホラー映画を観続けた日々。平壌の映画館に漂う熱気や、黒澤明をめぐるキューバの思い出。日本映画のあっと驚くような裏話も聴きどころです。映画の魅力とは、すなわち「差別や同性愛などのタブーを、誰もが映画を通じて自由に語れること」。映画史とは、観客の心の歴史に他ならないのです。

2011年03月17日

「BUTOHに学ぶ表現力」ゲスト 加賀谷早苗

経営者としてアートマネージメントとウェブデザインを手がける加賀谷早苗さんのライフワークは「BUTOH」(舞踏)。十代で出会い、その身体表現の奥深さに魅了されました。華やかさはなくとも、シンプルな動きが俳句にも似た雄弁さを持つという舞踏の表現。オペラや文楽などとのコラボレーションも活発です。スタジオでは、初対面の相手の心をつかむ表情の習得を楽しく指南。日本オリジナルの舞台芸術は、実生活に活かせるヒントに溢れています。


プラスワンでは、舞踏の方法論をさらに深くご紹介。まずは加賀谷早苗さんが、梃の原理を応用した上半身と下半身の統合法を教えてくれます。風通しの良い身体を作り、力の抜き方の達人になることが舞踏の基本姿勢。そこには周囲の環境と一体化して生きる身体知が凝縮されているのです。非言語的なイメージを即興で共有し、ジャズや武術との近似性もある舞踏は、その楽しみ方も無限大。誰もが表情豊かな人物になれるトレーニングなど、聴きどころも満載です。

2011年03月22日

「未来を変える社会的商品」ゲスト 熊野英介

一切の無駄がないはずの生態系で、なぜ人間だけが無駄を生み出すのか。熊野英介さんは、非鉄金属の問屋から森の再生まで、持続可能な社会を目指す事業を続けてきました。個々人の表層的な欲望によって断片化した社会を、どのようにして再びひとつにまとめるのか。誰にでもある漠然とした利他心を、どう確実なものへとドライブするのか。縮みゆく経済の中で、新しい価値観をビジネス化する秘策とは。「人間はコストではなく資本」と語る社会起業家の哲学が心に響きます。


プラスワンでは、熊野英介さんの深い洞察を手がかりに、未来の社会を展望します。私たちは、衣食住が足りていながらも不幸だと感じている人類最初の世代。終身雇用が崩れた孤独と不安の中から「共感」という確かな欲求が再び意識され始めました。シンパシーではなくエンパシー。密やかな人々の思いを集め、温かな未来への一歩を踏み出す「商品」の創出を熊野さんは目論んでいます。理想を現実に着地させるのが実業家たる使命。歴史、経済、科学、哲学がクロスオーバーする至言の連続です。

2011年03月29日

「大震災後のメディアの言説について」ゲスト 小田嶋隆

大震災後、日経ビジネスオンラインで、鋭いコラムを書いた小田嶋隆さん。
このような大きな悲劇を前にして、言葉は何を語れるのか。
どのような言葉が人々に届き、どのような言葉が信用をとりつけることができるのか。
視聴者の共感をよぶ枝野官房長官のスピーチと、空疎だと批判を浴びた菅首相のスピーチの違いはどのあたりにあったのか。推進派と反対派は何故かくも乖離してしまったのか。あるいは、専門家の発言のあやうさはどこにあるのか。
原子力の分野に関して、十年ほど前より勉強してきたという小田嶋隆が、危機における政治家、専門家の言語について独自の視点から解説している。聴くほどに小田嶋隆というひとの言語感覚の鋭さに感嘆することになるだろう。
未だ解決策の見えない原発をめぐる言説について、もやもやしたものを感じざるを得ない今、ひとりでも多くの人々にお聞き願いたい。
(文責:平川克美)

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