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2010年09月 アーカイブ

2010年09月07日

「絵画『東京大空襲』を解剖する」ゲスト 岡本信治郎

聞き手:平川克美
アシスタント:五十川藍子

 昭和8年生まれの岡本信治郎さんが、終戦を迎えたのは12歳の夏。約50km離れた疎開先から見た東京大空襲が忘れられず、このたび60年越しで描いた大作『東京大空襲』が来夏の公開を待っています。画家を志したのは18歳。印象派、ソール・スタインバーグ、パウル・クレー、ジョルジュ・スーラらの影響からユニークな線画や不思議な明るさを持つ作風を確立し、911のショックで戦争を描く決意をしました。画業の全貌を自ら振り返る、貴重なトークをお楽しみください。


 プラスワンでは、岡本さんの絵画的再出発となる新作『東京大空襲』を徹底解剖します。画面の中央には靖国神社に参拝する小泉純一郎元首相。空を飛ぶB-29はヤマタノオロチとなり、八百万の神を一神教化した大日本帝国の正体も暴こうとしています。まさに意味の洪水が画面に渦巻く叙事詩的な「読む絵画」。そこには、戦争と平和はひとつの連続した概念だと考える画伯の歴史観が塗り込められています。神なき宗教画を解くヒント満載のトーク。来年の公開が待ちきれません。

2010年09月14日

「ウィーン経由、異色の三味線奏者」ゲスト 松本優子

 ウィーン国立音楽大学でミュージカルを学び、現在は落語芸術協会に所属する三味線奏者。松本優子さんの音楽遍歴は極めてユニークです。東京学芸大在学中に国費留学のチャンスをつかみ、ドイツ語で歌と踊りに没頭した2年間。その反動から帰国後は邦楽に傾倒し、素晴らしい師匠と出会って三味線の「弾きこもり」生活に入りました。番組で披露してくれる生演奏は「相撲甚句」。艶やかな三味線と歌声はもちろん、超自然体な生き方が松本優子さんの魅力です。


 プラスワンでは、落語の出囃子の奥深さを松本さんが解説します。落語芸術協会で出囃子を弾くには、長唄、清元節、常磐津などの邦楽はもちろん、クラシック、ジャズ、ビートルズなど広範なレパートリーが必要。スタジオで演奏してくれるのは、志ん朝の「老松」、志ん生の「一丁入り」という伝説の出囃子です。子育てをしながら、好きな仕事やお稽古ができる幸せを生き生きと語る松本さん。寄席に行ったら、下座から聞こえる粋な三味線に耳を傾けてください。

2010年09月21日

「文明を知らない日本人」ゲスト 橋爪大三郎

 日本を代表する宗教社会学者の橋爪大三郎さんが、驚くべき明晰さで日本社会の本質を論じる必聴トーク。麦と大河が育てた世界文明と異なり、恵まれた自然のおかげで「努力は必ず報われる」という価値観を育んだ日本人。政治に期待せず、宗教への依存度が低いのが大きな特徴です。日本人が西洋的な合理性に最も接近したのは戦国時代。最も海外で尊敬されたのは明治時代。戦後に共産党と創価学会が躍進した理由とは? 圧倒的な知見と論理に、目からウロコの連続です。


 プラスワンでは、日本人の稀有な宗教観についてさらに刮目のトークが展開。子どもに命の大切さを説くのは大間違い。「命よりも大事なもの」を教えなければ、命を守れないのが宗教の常識です。議論を避ける「世間」の意思決定が、停滞と過ちを生む日本社会。学びによって世間を突破し、一人きりになっても議論することが本物の哲学を育てます。公開講座で市民や子どもたちと真摯に語り合う橋爪さん。学びへの欲求を、力強く駆動してくれる珠玉のトークです。

2010年09月28日

「全員参加型社会を目指して」ゲスト 湯浅誠

 日本の貧困問題に取り組む湯浅誠さんがゲスト。リーマン・ショックから2年、失業者の3分の1にあたる118万人が長期失業者となり、支えきれない家族が悲鳴を上げています。失業者が列をなすハローワークの窓口では、非正規雇用の職員が対応するという笑えない現状。家族を解体して個人が自由に生きられる社会を作ってきた日本人にとって、貧困は自ら招いた必然なのでしょうか。湯浅さんが提唱する「全員参加型社会」に、目指すべき未来のヒントがあります。


 プラスワンは、所在不明老人の問題でスタート。親の年金を命綱とする人々を叩くだけのマスコミに、湯浅さんは違和感を覚えています。「半年で3割就労」などと就労支援活動に圧力をかける厚労省。報酬を減らしてGDPを上げようとする経済界の矛盾。リーマン・ショックの教訓から政権交代したはずの日本に、まだ変化の兆しは見えません。支援する代わりに、言い訳を許さない厳しさもあるのが全員参加型社会。日本社会は成熟できるのか。湯浅さんの格闘はまだまだ続きます。

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