姜尚中さんの最新作『母〜オモニ』は、実母の生涯を描いた小説仕立てのノンフィクション。在日一世として様々な不運に翻弄されながら、その運命を受け入れていく力強い生き様が心を打ちます。15歳で故郷を離れて東京で結婚。愛息を失いながらも熊本まで戦火を逃れ、突然の終戦で始まったどん底の夫婦生活。姜尚中さん本人の朗読による、オモニの熊本弁が聴きどころです。文字を書けない母が、息子に宛ててカセットテープに吹き込んだメッセージに涙。
プラスワンでは、父母が生きた激動の時代を振り返りながら、現代社会に失われつつある絆について姜尚中さんが問いかけます。貧しくとも「金は使わなければ増えない」と信じ、他者に与え続けた母。縁ある人々と苦しみや喜びを分かち合う雑音だらけの生活は、損得のみを気にする現代のゼロサムゲームにない温かさがありました。年間3万人の自殺者を救うために必要なものは何か。この国が持ち得る希望について、姜尚中さんが静かに、熱くその思いを語ります。