人情味あふれる時代小説で大人気の作家、山本一力さん。多額の借金を返済するため、40代半ばで作家に転身したという驚きの逸話から楽しいトークが始まります。
執筆開始から3年間は無名時代を経験。「やるしかない人間が、絶望するなんて贅沢だ」と自分自身に言い聞かせ、奥様の励ましを得ながら執筆を重ねました。2002年には『あかね空』で直木賞を受賞し、現在は25本の連載を抱えるという売れっ子。趣向の異なったいくつもの小説を同時進行する集中力は、まさに天性の作家と呼ぶべきものです。
古き日本の家族模様を描きながら、深みのある人間描写で読者を惹きつけるのが山本作品の魅力。人間の矛盾や多面性をさりげなく描くことで、時代背景を超えたリアリティが胸を打ちます。
毎日原稿を書き続けることこそ人生の目的と語る山本さん。予想外の方向に動きだした物語を、最初の読者として推敲する喜びが格別なのだとか。職人の生き様を題材とし、その背後の豊潤な世界を立ち上げる名手。創作秘話に散りばめられた温かな人間論が、人気の秘密を解き明かしてくれます。