古典落語の大胆な改作でファンを魅了する立川談笑さん。早大法学部を卒業し、かつては司法試験も受験したという変わり種の噺家です。困った人を助けようと法律家を志すものの、25歳で方針転換。落研出身でもないのに落語の世界へ身を投じたのは、杓子定規だけでは世の中をよくできないと悟ったから。情で絡めとる世界に惹かれたという動機が示す通り、現代社会への批判精神は旺盛です。
見ず知らずの他人に礼を持って接する「都会人のたしなみ」を大切にする談笑さん。狭い世間で人々が摩擦を起こしながら生きていく知恵が、落語の中にはたっぷりあると力説します。マニュアル化された過剰な接客や、それを自動販売機のように無視するのが苦手。温かな人情や倫理観を過激な爆笑ネタに盛り込むので、聞いていてギクリとするのが談笑さんの落語なのです。
大好きな神社に関する雑学も楽しく披露。今年の目標は、地方でたくさん落語を演じること。安心して笑える噺、考えさせた後で心温まるような噺を聞かせたい。真摯な心の内を、落語界きっての奇才が覗かせてくれます。