古本に関する多数の著作で知られる岡崎武志さん。学生時代より安さにつられて古本屋に通ううちにその魅力の虜となり、今日も膨大な購入希望リストを心に本探しの散歩を楽しんでいます。
古本は、売れてしまうまでは店主の蔵書。個性的な店主との楽しい交流はもちろん、目当ての書物の隣に置かれた書物にまた新しい世界が広がっていることも古本屋巡りの醍醐味です。
このたび新作『昭和三十年代の匂い』を出版し、当時の生活に現代を生きるヒントを見出したと語る岡崎さん。長屋暮らしのような近所付き合いが街に残り、貧しくも活力があった日本社会は、東京オリンピックが開催された昭和39年を境に近代化へと加速します。最近「鉄腕アトム」を読み返した岡崎さんは、50年前に描かれた21世紀の予想図にも注目。空飛ぶクルマが発明されているのに、家庭には旧式電話と金魚鉢——そんな未来像に、作者手塚治虫はどんなメッセージを託したのでしょうか。
身近な事象を深く掘り下げ、独特の視点で読者を魅了する作家のトーク。懐かしさの中にも、新鮮な発見が溢れています。