良質な音楽評論を30年以上にわたり世に届けている北中正和さんがスタジオに。
大学時代を過ごした京都を後にし、就職先も決めずにふらりと東京にやって来たのは1969年のこと。安保闘争真っ只中の首都で北中さんが出会ったのは「ただの娯楽に留まらない音楽」――すなわちロックでした。
ニューミュージック・マガジン(現在のミュージック・マガジン)の配本を手伝い、やがて編集部員としてインタビューもこなすようになった北中さんは、中村とうようさんらとポピュラー音楽評論の一時代を築きます。
すべてが目まぐるしく移り変わった時代。少年たちがギターに群がり、教育委員会がエレキ禁止に乗り出した反逆の季節。「定説や権威をいったん疑え」という北中さんの姿勢が、奥行きのある音楽評論をコンスタントに生み出す力になりました。
新聞、雑誌、ラジオなどで活動を続け、近年はワールドミュージックに傾倒している北中さん。現在、音楽的に豊かな地域はどこかと聞かれて、真っ先に挙げたのは地中海周辺。ベテラン評論家は、今でも音楽を通じて世界の有り様を知覚しています。