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2008年08月 アーカイブ

2008年08月01日

「等身大のリアルな幸福感」ゲスト 西加奈子

 作家の西加奈子さんは1977年生まれ。2005年に発表した『さくら』が25万部を超えるベストセラーとなりました。リアルで切実な幸福感が詰まった物語の魅力に、様々な年代の読者が惹きつけられています。
 大学卒業後、喫茶店の店番をしつつ書き上げた最初の小説『あおい』を携えて上京。アルバイトをしながら編集者と知り合い、デビューするまでのいきさつを、爆笑エピソードを交えて披露してくれます。テヘラン生まれのカイロ育ちで、青春時代を過ごしたのは大阪市玉造。2007年に『通天閣』で受賞した織田作之助賞の受賞式は、スピーチの最中に選考員の野次が飛び交う和やかなムードだったのだとか。
 新しい小説の題材は、まず映像として浮かんでくるという西さん。それを文章化する力をつけるため、日々行っている訓練があるようです。「人間はひとりひとり違うから、親子でも決してわかりあえない。そんな諦念はあるけど、それでも信じあおうと思う愚かさが尊い」——そんな言葉に、大らかな感受性とクールな洞察力を感じさせる若き人気作家。全編大阪弁の元気なトークです。

2008年08月08日

「世界に誇る日本画の魅力」ゲスト 手塚雄二

 院展などで活躍する日本画の旗手、手塚雄二さんがスタジオに。
 父が友禅師という家庭で育ち、絵画に憧れた中学時代。高校で美術部に入り、画家になろうと決心しました。しかし、そこからが苦労の連続。5浪の末にようやく入学した東京芸大で、教授たちは基礎的な技法以外のことを何も教えてくれません。この芸大特有の「教えない教育」は、オリジナリティを育てるための方針だと後にわかりました。
 宝石のように色鮮やかな石を砕いて膠で溶き、水で伸ばして描く日本画は、湿度の高い日本にぴったりの画法。高松塚古墳の壁画も日本画であり、千年前の源氏物語絵巻が当時の世界で最も優れた芸術であったという事実を、手塚さんは熱く語ります。
 2006年に全国を巡回した回顧展「花月草星展」には10万人が来場。今年秋、ニューヨークのアートフェアでは、屏風を現代美術作品として出品する予定も。「描かれた花びらは、永遠に地面に落ちない。絵とは永遠を一瞬に止め、見えないものや聞こえないものを描くこと」——伝統技法とオリジナリティで勝負する画家の、真摯な創作の秘密が覗ける30分です。

2008年08月22日

「日本のベンチャーを育てる」ゲスト 村井勝

 コンパックコンピュータ株式会社の元社長として、日本の企業家に広くその名を知られた村井勝さん。カリフォルニア大学経営大学院を修了後、日米のIBMに勤務して要職を務め、1991年からはコンパック日本法人の創業社長として激戦市場に乗り出しました。
 当時のコンパックは、シェアも知名度も「ゼロ」。ライバルとなる国内メーカーからの無言の圧力で苦戦を強いられますが、そこである秘策によって局面を打開した逸話を披露してくれます。
 現在はグローバル・イノベーターズLLCの執行社員として、日本のベンチャー支援を推進する立場。思えばソニーも、松下電器も、本田技研も、創成期はみなベンチャー企業でした。しかし現在の日本は、ベンチャー企業育成のためのリソースが先進24カ国中で最低の状況。「米国では成功した人が次のベンチャー企業を育てている」と語る村井さんは、シリコンバレーの上位10社をすべて若いベンチャー企業が占める理由を解説してくれます。
 豊富な知見と鋭い問題意識から日本のアントレプレナーの未来像を描く、ビジネスマン必聴の経営談義をどうぞ。

2008年08月27日

「新しい視点からの経済報道」ゲスト 井上久男

 文藝春秋などへの寄稿で話題の経済ジャーナリスト、井上久男さん。九州大学を卒業後、NECの半導体工場で安全衛生を担当してから新聞記者になったという変わり種です。
 朝日新聞の経済部に13年間在籍し、2004年よりフリー。バブル崩壊、デフレを経て変化した産業界の価値観に対応するため、新しい経済誌『ザ・ファクタ』の企画や編集で活躍しています。大手メディアの経済ジャーナリズムには、構造を捉えて書く力が不足だと語る井上さん。小さな問題の原因究明にも、大きな歴史観が必要であると力説します。
 話題の近刊『トヨタ 愚直なる人づくり』(ダイヤモンド社)は、多数のトヨタ関係者への丹念な取材で書き上げられました。今やロシアの国家予算にも匹敵する順風満帆な経営力はどこから生まれるのか。トヨタには愚直な人が多く、失敗も多い。しかし問題や矛盾を常に抱えながら、それをみんなで揉みほぐしていく粘り強さに井上さんは注目しています。
 現場主義の視点に、冷静な大局観が同居する平易な経済論。新聞の経済欄では読むことのできない、新鮮な驚きに満ちています。

2008年08月29日

「お笑いの仕掛人、第二の人生」ゲスト 木村政雄

 漫才ブームを仕掛け、吉本興業を全国区に押し上げた功労者として知られる木村政雄さん。横山やすし・西川きよしのマネージャーに始まり、「宝島に入った少年のように過ごした」という33年間の吉本時代は逸話の宝庫です。
 タレントの栄枯盛衰を見守ってきた木村さんは、平成14年に自分自身の「賞味期限切れ」を悟り、取締役だった吉本興業を退社。慣れ親しんだ芸能界からは距離を置き、ベンチャー事業家に転じました。
 「人生には、学ぶ、稼ぐ、返すという3段階がある」と語る木村さんの提言は、日本社会の未来にも向けられます。世の中の意見が一辺倒に偏る危険な風潮は、日本が急激に近代化した副作用。これからは不況でも倒れない、百様の生き方が認められる大人の国を目指そうと訴えます。
 目下の目標は、自らの世代でもある団塊世代を元気づけること。数年前には50歳からのフリーマガジン『5L.(ファイブエル)』を創刊しました。「近頃の若いもんは…」は禁句。年をとっても、ある種の軽薄さを持つことが大切。講演、執筆、地域活性などに駆け回る木村さんの「いい話」が満載です。

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