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2008年06月 アーカイブ

2008年06月02日

「歴史の証人が語る報道写真の未来」ゲスト 徳山喜雄

 徳山喜雄さんは、朝日新聞社のフォトディレクター。これまでに世界各地の政変、紛争、難民問題の多くを単身で取材してきました。写真集『千年紀へのメッセージ』では、群衆が主人公となった東欧革命とソ連崩壊の模様をダイナミックにまとめています。
 番組前半は、そんな徳山さんが体験した興味深い取材秘話の数々を披露。さらに番組後半では、戦争と報道について議論が白熱します。太平洋戦争中に国策協力した報道写真の実例を、朝日新聞の連載で紹介した徳山さん。近年、湾岸戦争では米軍が選抜したカメラマンたちが合同取材を行い、またイラク戦争では部隊に随行したカメラマンたちが軍人の視点で戦争を報道した「メディアの敗北」がありました。
 写真による戦争報道は、権力による操作が常に関与するもの。カメラマンも祖国の国益を損ねるような戦争報道をためらうのが事実です。そんな中、勝者に都合の良い写真だけが残って歴史歪曲に利用されるのを防ぐために、徳山さんは報道写真の理論化に力を入れています。ジャーナリズムの本質に迫る、刺激的なトークをどうぞ。

2008年06月09日

「笑撃のシェイクスピア一人芝居」ゲスト 楠 美津香

 コント芸人、放送作家、DJ等を経て、実験的な一人コントを演じてきた楠美津香さん。2000年より一人芝居「Lonely Shakespeare Drama(LSD)」を始め、10年間でシェイクスピア全39作品の上演を目指して公演を重ねています。
 自称「世界一わかりやすい格闘技系シェイクスピア」とはいかなるものなのか。「シェイクスピア劇はそもそも血湧き肉踊るエンターテインメント」と語る楠さん。いきなり『ロミオとジュリエット』のクライマックスを披露すると、あばずれ風のジュリエットに驚き、ぐいぐい引き込まれ、スタジオはやがて爆笑の渦に。坪内逍遙や小田島雄志の訳を参考にするという楠さんの台本は、登場人物がみな現代風のキャラクターに変貌しています。シェイクスピア劇は小難しくない、本来は気楽なものという信念から、公演時も「携帯電話オーケー」。
 番組後半では『ハムレット』劇中に挿入する自作の「オフィーリアの歌」(パンク調)を絶唱する大サービス。1回の舞台で2キロ痩せるという、渾身のパフォーマンスの一端を垣間見せてくれます。息もつかせぬ、衝撃の30分をお楽しみください。

2008年06月13日

「酒場ライターで漬物屋」ゲスト バッキー・イノウエ

 京都の錦市場で漬物屋を営みながら、酒場ライターとしても活動するバッキー・イノウエこと井上英男さん。ほとんど毎日のように馴染みの店を飲み歩き、ついつい取材に手間をかけてしまうのが悩みの種です。
 そんな井上さんが、錦市場で漬物屋を始めたのは10年前。毎朝6時から八百屋さんとのやりとりがあり、7時には漬け物作りにとりかかります。場所柄、観光客と地元客が混在する錦市場。やや日が経って色の変わったぬか漬けを求めて来たり、部位による味の違いをちゃんと知っていたりするのが京都の年配客です。「今年のスグキはあかんな」「こんなもん、なんで200円もすんの」などといった手厳しい意見をもらうのも井上さんの喜び。親しくなりながらもプライベートには決して立ち入らない、京都らしい距離感を感じさせるエピソードもたくさん教えてくれます。
 消費の作法が細かく丁寧で、ノウハウをはっきりと情報化ができないのが京文化の神髄。ざわざわとした街の賑わいが感じ取れるトークには、絶妙な「ええ加減」を愛する男の含蓄がたっぷりと詰まっています。

2008年06月21日

「旅と書物の深い関係」ゲスト 新井敏記

 1985年に雑誌『SWITCH』を創刊、2003年まで編集長を務めた新井敏記さん。創刊号のサム・シェパードを皮切りに、一人の人物に焦点を当てるスタイルでカルチャー誌の一時代を築きました。
 2004年には「旅する雑誌」というコンセプトで、『コヨーテ』を創刊。これまでの特集では、SWITCH時代より交流のあった星野道夫さん、沢木耕太郎さん、池澤夏樹さんら「旅と読書」を体現する人々が登場しています。
「自分が移動しながら、人に出会いたい。風景の中に自分がいることによって、見えてくるものをとらえたい」——そんな雑誌作りへの思いや、星野道夫さんと初めて会った時のエピソード、また旅に持っていくお薦めの本など、とっておきの話が次々と飛び出します。
 雑誌は30年以上続けたらダメ、30万部を超えたらダメというのが新井さんの持論。編集業を退いたら、海洋学を勉強しなおしてどこか南の島に住むのが目標なのだとか。旅とは単に遠くに行くことではなく、未知のものを探すこと。だから旅と読書は、切っても切れない関係にあるのです。

2008年06月30日

「映画『ヤーチャイカ』の舞台裏」ゲスト 谷川俊太郎・覚和歌子

 ついに封切りされた、話題の映画『ヤーチャイカ』。動画の代わりに千枚のスチール写真を組み合わせたユニークな手法の作品で、監督は覚和歌子さん、谷川俊太郎さんという年の差30歳の詩人コンビです。原案は覚さん。
 1963年6月、ロシア初の女性宇宙飛行士テレシコワが宇宙空間から送ってきた最初の言葉が、コールサインの
「ヤーチャイカ(こちらカモメ)」でした。当時この飛行に感動した谷川さんもテレシコワに捧げる詩を書いており、そんな縁も手伝って今回の共作が実現しました。
 写真選びや編集の過程で意見の相違が鮮明になり、幾度となく激論を重ねたというお二人。その甲斐あって、作品は素晴らしい内容に仕上がっています。写真が動かない分、観客は映像を頭の中で繋ぎ、写真と言葉と音楽が三位一体となった忘れがたい体験を醸成。「ここは、とてもいいところです」——そんな言葉のひとつひとつが深く心に刻まれるのも、やはり詩人監督のなせる業でしょう。制作秘話を聞けば、映画鑑賞がいっそう楽しくなること請け合い。ファン必聴のディレクターズ・トークです。

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