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2008年03月 アーカイブ

2008年03月10日

「新作と改作による落語の新境地」ゲスト 三遊亭白鳥

 圧倒的な独創力で、いつも新しい落語を聞かせてくれる三遊亭白鳥さん。大学時代は落研ではなく空手部と童話研究会に所属したという「落語知らず」でした。
 モテたい一心で、面白い小話をいつも考えていたという貧しい学生時代。小説家に憧れたものの、古本屋で買った志ん生の『びんぼう自慢』に感銘を受け、三遊亭圓丈師匠の門を叩きました。
 新潟出身で江戸弁が話せなかったので、最初から新作志向。作ったオリジナルの噺は150以上にものぼります。創作の源泉は、主に自分自身の体験から。空手部の練習や貧乏暮らしは辛いだけでしたが、下から上を見る落語特有の目線がしっかりと身に付いていました。
 二つ目時代にはわずかな旅費で世界を放浪。期せずして外国での長屋暮らしを経験し、池の鯉を盗んで食べたというような破天荒なエピソードも多数あり。
 新作落語の他にも、「火焔太鼓」を元にした「火炎太鼓」や、「初天神」を元にした「ハイパー初天神」などの自称「白鳥古典」も人気です。奇想天外だけどわかりやすい、白鳥落語の秘密に触れられる30分です。

2008年03月11日

「やる気のメカニズム」ゲスト 金井壽宏

 神戸大学大学院で教鞭をとる金井壽宏さんは、リーダーシップ、モチベーション、キャリアなど、経営学の中でも、人間の問題に深く関わる研究に携わってきました。『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』『働くみんなのモティベーション論』などの著作における、わかりやすい論説が好評を博しています。
 金井さんがとりわけ力を入れて取り組んできたのは「やる気とは何か」という難しい問題。「あなたは現在、やる気がありますか」という問いかけに、「さっきまで燃えてたのに、もう冷めた」と答えるのは人の常です。モチベーションがずっと高い人や、ずっと低い人はいないのに、ダイナミックに上下するやる気のメカニズムに対して既存の学説は説明不足だったと語る金井さん。
 やる気を高めるために必要なのは、まず緊張感を持つこと、そして希望を持つこと、さらには他人のせいにせず自己調整すること。楽しさや達成感などの内発的な動機と、金銭を含む外発的報酬のバランスも無視できません。常にアップダウンするモチベーションをどう調整して維持するのか。自分の「やる気」を操縦するためのヒントを、金井さんが飄々とした語り口で教えてくれます。

2008年03月14日

「ラジオの底力をまざまざと」ゲスト 川崎隆章

 ラジオの歴史を、ほぼ独学で研究してきた川崎隆章さん。6歳の頃にポケットラジオを手にし、すぐに短波ラジオの海外放送にも出会いました。14歳の時に宮城県沖地震の緊急警報放送を聴いたことがきっかけで、ラジオの多様な役割に関心を持ちはじめます。20歳の時にはヨーロッパのラジオ放送を独自調査し、BBCも訪問。4系統あるBBCラジオの変遷には、驚きの事実がありました。
 番組後半は、日本のラジオ史をたどる旅へ。GHQの指示で娯楽番組が充実した戦後。公開録音や素人参加の芸能番組などでお茶の間を賑わせたラジオは、やがてトランジスタラジオの登場で深夜番組の黄金期に。台本無しで長時間フリートークをするスタイルは、当時様々な議論を呼びました。
 阪神大震災の時に、倒壊寸前の局舎から放送を再開したラジオ関西のエピソードも。上空からの映像を流すだけのテレビに対し、地上から生々しい情報を伝えたのはラジオでした。
 現在は演芸番組のディレクターを務めながら、2000年よりインターネットサイト「放送博物誌」の編集主幹。川崎さんが語るラジオの歴史は、目からウロコの連続です。

2008年03月23日

「日本が誇るウイスキーの番人」ゲスト 輿水精一

 世界的なウイスキー・ブレンダー、輿水精一さんにお話をうかがいます。ウイスキー作りにおけるブレンダーの役割は、新製品の開発と、既存ブランドの味の保持。一樽ごとに違う原酒の味を組み合わせて一定の味を作る、いわばウイスキーの味の番人です。
 樽のひとつひとつを吟味して、いま飲むべきか、将来に残すべきかを見極めるのには、豊かな経験とぶれない味覚が必要。原酒のテイスティングは、数百種類に及ぶ日もあるのだとか。輿水さんの職場であるサントリー山崎蒸留所は京都と大阪の府境近くにあり、古くは茶の湯に使われていた名水の地。四季の温度や湿度の変化が、お酒の味を深めていきます。
 1973年にサントリーに入社、1999年よりチーフブレンダーを務める58歳。英国で行われる酒類国際コンペ「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」では、日本人初の審査員に指名されました。国際コンペで何度も世界最高賞を受賞しながら、ブレンダーの仕事に決して100点満点はないと語る輿水さん。ウイスキー好きには必聴の内容です。

2008年03月28日

「脳化社会で楽しく老いる」ゲスト 養老孟司

 最新作『養老訓』が大好評の養老孟司先生がスタジオに。高齢化がどんどん進む一方で、人々はアンチエイジングを追い求める現代日本。こんな時代における賢い老い方とは、一体どのようなものなのでしょうか。
 新しさを競う自然科学の分野に身を置きながら、青年期より「太陽の下に新しいものなし」と考えてきた養老先生。最先端を追わず、あえて時流の最後尾を走ってきた70歳の言葉には、目の覚めるような透徹した理性と、穏やかな諦観とが同居しています。
 不機嫌な爺さんにならない秘訣は、日々「仕方がない」と開き直ること。そんな養老節の根底には、仏教の「五蘊皆空」に対する科学者流の解釈も。「仕事は世間からの預かりものだから、手を広げすぎず適当にやって、時期が来たら世間に返すのがいい」「他人を信じないと、余計なコストがかかって高くつく」「大変なことや疲れることは、考えてみれば全部人間が決めたこと」。飄々とした言葉のひとつひとつに驚き、笑い、深く納得し、いつの間にかすっかり心が軽くなってしまう30分です。

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