「新作落語の神髄に迫る」ゲスト 三遊亭円丈
三遊亭円丈さんの演目は、ほとんどが自作。そのネタは質量ともに日本一と言われ、後進の落語家にも多大な影響を与えています。
70年代に古典を封印して実験落語を始めた頃は、落語界を脅かす悪魔のように見られていたという円丈さん。古典に肉薄できるものを作ろうと、世相を反映させたユニークな新作落語を次々に発表してきました。
「僕は失敗だらけだからこそ、ここまで来れた」と語る反骨の師匠は、いつでも様々な人の意見を聞きながら自作の噺に改良を加えることを忘れません。小説は一度書くと完成だが、落語はバージョンアップできるから終わりがない。古典にしろ新作にしろ、大衆芸能である落語には常に「今」が必要だというのが、円丈さんの一貫した主張です。
先人の惚れ惚れするような芸を前にしても、それを冷静に俯瞰する目を持てば、他のやり方があることにも気づく。思想も上着のように取り替えて、とにかく前に進むしかない。そんな言葉の端々から、落語への情熱がひしひしと感じられます。
高座に上がるといつも頭が空になり、その場でしかできない噺が自然に口をついて出てくるという63歳。「落語は生きている」と実感させてくれる、エキサイティングなトークです。