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2008年01月 アーカイブ

2008年01月08日

「新作落語の神髄に迫る」ゲスト 三遊亭円丈

 三遊亭円丈さんの演目は、ほとんどが自作。そのネタは質量ともに日本一と言われ、後進の落語家にも多大な影響を与えています。
 70年代に古典を封印して実験落語を始めた頃は、落語界を脅かす悪魔のように見られていたという円丈さん。古典に肉薄できるものを作ろうと、世相を反映させたユニークな新作落語を次々に発表してきました。
 「僕は失敗だらけだからこそ、ここまで来れた」と語る反骨の師匠は、いつでも様々な人の意見を聞きながら自作の噺に改良を加えることを忘れません。小説は一度書くと完成だが、落語はバージョンアップできるから終わりがない。古典にしろ新作にしろ、大衆芸能である落語には常に「今」が必要だというのが、円丈さんの一貫した主張です。
 先人の惚れ惚れするような芸を前にしても、それを冷静に俯瞰する目を持てば、他のやり方があることにも気づく。思想も上着のように取り替えて、とにかく前に進むしかない。そんな言葉の端々から、落語への情熱がひしひしと感じられます。
 高座に上がるといつも頭が空になり、その場でしかできない噺が自然に口をついて出てくるという63歳。「落語は生きている」と実感させてくれる、エキサイティングなトークです。

2008年01月15日

「くいだおれとボサノバの関係」ゲスト 柿木央久

 柿木央久さんは、東京大学の卒業論文でジョアン・ジルベルトアントニオ・カルロス・ジョビンをテーマにして以来、ボサノバの魅力を日本に紹介してきた音楽評論家。そしてさらに、あの「くいだおれ人形」で有名な道頓堀のレストラン「大阪名物くいだおれ」を創業した山田六郎さんのお孫さんでもあります。
 ボサノバといえば、勤労意欲を失わせ、昼からお酒が欲しくなってしまう享楽的な音楽。そんなムードが「ラテン大阪」とも異称される大阪ミナミの気質に合うのだと柿木さんは考えています。
 道頓堀はもともと芝居小屋が多い歓楽街で、芝居茶屋を中心に食の街としても成長してきました。「大阪名物くいだおれ」は、刺身やすき焼きなど「なんでもあり」の宴会料理で大阪の庶民に親しまれているレストラン。大阪の味は「みんながええというものが、ええ」といった保守的な価値観を表していると柿木さんは語ります。
 何百年もかけて試行錯誤した結果の「やっぱりこれは美味い」というコンセンサスが大阪の味。「見てわかるやろ」「食うてわかるやろ」といった一目瞭然の良さこそが大阪文化の身上なのです。
 「くいだおれ」と「ボサノバ」という2つのテーマから、知的刺激に満ちた話題が縦横無尽に生まれる楽しいトークをどうぞ。

※テキストに一部誤りがございましたので訂正致しました(2008.01.15)。

2008年01月19日

「サージェント・ペパーズから40年」ゲスト 松村雄策

 作家、エッセイストとしても活躍する音楽評論家の松村雄策さん。ビートルズの熱烈なファンとしても知られ、1972年に雑誌「ロッキング・オン」を創刊して以来、音楽ファンを中心とする人々に多大な影響を与えてきました。
 「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の発売から40年、ビートルズは今でも北極星のように遠くにあって動かない特別な存在。何百光年もかけて星の光が地球に届くように、時代を越えて大切なものを思い出させてくれるのが彼らの音楽であると、詩的なビートルズ観を語ってくれます。 1980年12月にジョン・レノンの訃報を受けた日の様子を感慨深く振り返り、もしジョンが今でも生き続けていたらどんな音楽を作っていたのだろうと想いを巡らせるひととき。
 松村さんがこよなく愛する3つのものといえば、落語、プロレス、そしてロックなのだとか。これらに共通するのは「ライブ」。何かを本当に好きになるには、最初から最上のものに直接触れるのが一番というのが持論です。1987年に青春小説「苺畑の午前五時」を上梓した時の裏話など、音楽に留まらない多彩なカルチャー談義に花が咲く30分間をお楽しみください。

2008年01月25日

「現代の与太郎、古典の名手」ゲスト 古今亭志ん五

 役者に憧れ、タレント養成所に通っていたという浅草育ちの古今亭志ん五さん。たまたま新宿の末広亭で見た落語に感動し、あの古今亭志ん生師匠の自宅を訪ねて入門を願いました。首尾よく志ん生夫人から許しをもらい、そのまま上野鈴本の楽屋で志ん朝師匠と面談。ちょうど兄弟子の真打ち昇進で人手が足りなくなった事情も味方して、即座に入門を許されます。
 当時まだ高校2年生だった志ん五さんは、布団持参で「おしかけ内弟子」を決行。高校を中退した事実を引っ越しの当日に知らされた志ん朝師匠が面喰らったという逸話が笑えます。昭和の大名人、古今亭志ん生から直々にネタを学んだ幸福な内弟子時代。真打ち昇進の鈴本初席で、その志ん生と一度だけ同じ席に座った記念すべき日もありました。
 志ん生と志ん朝、親子の両師匠にまつわるエピソードもたくさん。晩年の志ん生が急に人形町末広での親子会を思い立ち、長い演目として有名な「文七元結」を親子2人で演じた思い出話も。かつて志ん生が講談師だった頃に仕込んだ「井戸の茶碗」や「柳田格之進」などの渋いお家芸をこよなく愛する志ん五さん。十八番ともいえる与太郎噺の役づくり秘話など、名作を語り継ぐ落語家の魅力がいっぱいの30分です。

2008年01月30日

「奇才音曲家、即興芸を交えて」ゲスト 上野茂都

 武蔵野美術大学で彫刻を教えながら、絵画やイラストや工芸なども手掛け、さらには三味線による弾き語りで自作自演の唄を発表する音曲家として知られる上野茂都さんがスタジオに登場。
 その驚くべき多才ぶりを「結局何をやっても売れない乾物屋が、酒を置いてみたり水を置いてみたりしているようなもの」と自嘲気味に語る上野さんは、自分自身を「ジョーカー・タイプ」の芸術家なのだと分析しています。
 エースやキングではなくジョーカーを目指す表現者は、自分で勝手にルールを作ってしまう。そんな自分は世捨て人だけど背中は見て欲しい、世を捨てきれない仙人なのだと、三味線をつま弾きながら訥々と話が展開します。
 端唄俗曲の流れをほとんど我流で引き継いだ上野さんの音曲は、まさに現代の吟遊詩人と呼ぶに相応しいもの。古事記、御伽草子、日本霊異記などの古典を好んで題材とするのは、言葉が持つ音の良さに魅力を感じるからなのだとか。
 番組の後半では、幸田露伴の「五重塔」を講談風に朗々と披露。ライブが身上の表現者、上野茂都さんの魅力をたっぷりとお楽しみください。

2008年01月31日

「京都上七軒から、廓言葉の華やぎを」ゲスト 中路良枝

 京都最古の花街として知られる上七軒。お茶屋「梅乃」の店内から、店主の中路良枝さんが京都の花街文化をわかりやすく指南します。毎年4月に花柳流「北野をどり」が上演される上七軒は、室町時代、北野天満宮改築の時に余った材木で七軒の茶屋が建てられたのが街の始まり。豊臣秀吉が催した大茶会でお団子の美味しさが評判となり、京都に6つある花街のひとつとして発展しました。
 「おおきに、おたのもうします」と登場した中路良枝さんは、舞妓や芸妓の時代を含めて40年以上この街で商売を続けてきた大ベテラン。花街とはいったいどんな場所なのか、なぜ一見さんはお断りなのか、「いけず」とはなにか、などの素朴な疑問に答えてくださいます。
 「〜どす」という響きが優しいその口調は、一般的な京都弁とも異なる花街独特の廓(くるわ)言葉。中路さんは、東北や沖縄など全国からやってくる女性たちにもこの廓言葉を教え、美しい伝統を守ってきました。
 「芸妓は女性にとって最高の職業」と語る中路さんの語り口に、はんなりとした花街の歴史と華やぎを感じてください。

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