江戸文化、アジア比較文化の研究者として知られる法政大学教授の田中優子さん。1986年に「江戸の想像力」を著して以来、世界史の中での江戸時代を捉え直してきました。
今日の最初の話題は落語。江戸時代の落語には、死、犯罪、遊女、金、裏切りなどのグロテスクで反社会的な笑いが多く登場します。そんな際どい話題を「人間はこういうところがあるね」と軽く粋に聞かせるのが江戸の精神だと語る田中さん。日常に穴を穿って視点をずらすことで、触れたくない話にも光を当てるのが、人々の楽しみだったのです。
番組後半は、江戸の恋について。近松門左衛門が流行させた心中物を、江戸後期に驚くほど現代的な手法で展開した山東京伝が話の発端です。本好きの青年が「僕も心中したい」と思って恋人探しを始める物語に、テレビドラマを生きてみたいと願う現代人と共通の感覚を発見。浮き世と呼ばれる虚構の世界を楽しみながら、現世を絶妙なバランスで捉えるのが「粋」の正体であると田中さんが解き明かします。
江戸時代にタイムスリップし、そこに生きた人々の、洗練された心の仕組みに触れてみましょう。